1. システム化計画
システムをいきなり作り始めるのではなく、まずは「どんなシステムを作るべきか?」という全体的な計画を立てるプロセスを学びます。
(1) システム化計画
システム化計画は、家づくりでいうと「どんな目的で、いくらの予算で、いつまでに、どんな家を建てるのか?」という全体像(設計図の前の大枠)を決める作業です。情報システム戦略(会社の目標)に基づいて立案されます。
- システム化構想・基本方針: 対象業務を分析し、「今回はこの業務をシステム化しよう」という基本的な方針を決めます。
- 適用範囲: どこからどこまでの業務をシステム化するか(例:経理だけか、営業も含むか)。
- 開発順序: 複数のシステムを作る場合、どれから優先して作るかの順番。
- 概算コスト と 費用対効果: だいたいいくらかかるか(概算コスト)と、それを導入することでどれだけ儲かるか、またはコスト削減になるか(費用対効果)。
- スケジュール と 体制: いつまでに終わらせるか、誰が責任者になって進めるか。
- リスク分析: 開発中に起こりうるトラブル(予算オーバー、納期遅れなど)をあらかじめ予測し、対策を考えること。
この「システム化構想の立案」から「システム化計画の立案」までの、システム開発の最初に行う一連の作業工程のことを「企画プロセス」と呼びます。
2. 要件定義
システム化計画で全体像が決まったら、次は「そのシステムに具体的に何をしてほしいのか?」という要望(要件)をまとめる作業に入ります。
(1) 業務要件定義
経営戦略や利用者のニーズ(現場の声)を調査・分析し、「システムに求める機能と要件」を文章として明確に定義するプロセスです。最後に開発側と依頼側で「これで間違いないですね」と要件の合意を行います。
要件定義で決める要望は、大きく「機能要件」と「非機能要件」の2つに分かれます。
カレーライスを注文するときに例えてみましょう。
機能要件
システムが「必ずやらなければならない機能」のこと
- データを入力したら計算して結果を出す機能
- パスワードを入力してログインする機能
「カレーライスであること」「お肉と野菜が入っていること」など、商品の絶対的な機能。
非機能要件
機能以外の「性能、使いやすさ、安全性」などの品質
- 検索ボタンを押したら1秒以内に結果が出ること(性能)
- 24時間365日止まらないこと(可用性)
- 暗号化して情報漏えいを防ぐこと(セキュリティ)
「注文から5分以内に出てくること(性能)」「アツアツであること」「お皿が綺麗であること(品質)」など。
3. 調達計画・実施
「どんなシステムが欲しいか(要件定義)」が決まったら、次はそのシステムを作ってくれる外部の業者(ベンダー企業)を探して契約する「調達」のプロセスに入ります。
(1) 調達の流れ
調達は、以下の順番で進んでいきます。RFIとRFPの順番と違いが試験でよく問われます。
パソコンやサーバーなどの機器を調達する際、価格や性能だけでなく、「環境に優しい(省エネ、リサイクルしやすいなど)製品や企業を優先して選ぶ」という考え方です。
AI・データの利用に関する契約ガイドライン:
AIの開発を外注した際、「そのAIの権利(著作権)は誰のものか?」「学習に使ったデータはどう扱うか?」といったトラブルを防ぐため、経済産業省が定めている契約の指針です。
RFI、RFP、提案書、見積書の違い
システムを依頼する「前」の準備段階で出します。
「うちの会社はこんな業務をしているんですが、今の最新技術でどんな解決策(手段)がありますか? 貴社の実績などの情報を教えてください」と、ベンダー企業に広く情報提供を依頼する文書です。
RFIで情報を集め、要件が決まった後に、本命のベンダー候補に出します。
「うちの導入システムの概要、予算、納期、満たしてほしい要件はこれです。これに基づいて、具体的なシステム構成やスケジュールの『提案』を出してください」と明示する、最も重要な文書です。
(※これは依頼元ではなく、ベンダー企業側が作成します)
受け取った「RFP(提案依頼書)」の内容を基に、ベンダー企業が「弊社ならこういうシステム構成で、こういう開発手法を使って実現しますよ」と依頼元に対してアピール・提案するために作成する文書です。
(※これもベンダー企業側が作成します)
提案書と一緒に提出される、システムの開発、運用、保守などにかかる具体的な費用(金額)を示す文書です。
依頼元は、各社から提出された「提案書(技術力)」と「見積書(価格)」を比較評価して、最終的な調達先(発注先)を選定します。