1. 経営・組織論

企業がどのような目的で活動し、どのように人を動かし、組織を管理しているのかを学びます。

(1) 企業活動と経営資源

企業活動を行うために必要な4つの要素が「ヒト・モノ・カネ・情報」(経営資源)です。
そして、これらを使って「何を目指すのか」を定めたものが経営理念です。

企業の目的と存在意義
  • 経営理念 (企業理念):企業が活動する上での根本的な考え方や存在意義。
  • MVV (ミッション・ビジョン・バリュー)
    ・ミッション(使命:何のために存在するのか)
    ・ビジョン(目標:将来どうなりたいのか)
    ・バリュー(価値観:どんな行動基準を大切にするか)
  • パーパス経営:自社の存在意義(パーパス)を明確にし、社会への貢献を軸にする経営手法。
  • コーポレートブランド:企業に対する社会からのイメージや信頼感。
企業の責任と環境への配慮
CSR
Corporate Social Responsibility
企業の社会的責任。企業はただお金を稼ぐ(利益追求)だけでなく、地球環境を保護したり、ボランティア活動などで社会に貢献したりする責任があるという考え方です。
SRI
Socially Responsible Investment
社会的責任投資。投資家が株を買うときに、ただ儲かりそうな企業を選ぶのではなく、「環境や社会に良いことをしている企業(CSRを果たしている企業)」を優先して選んで投資することです。
ディスクロージャー
情報公開。株主などに経営状況(決算など)を透明性高く公開すること。
ステークホルダ
利害関係者。株主、従業員、顧客、取引先、地域社会など、企業に関わるすべての人。
グリーンIT / SDGs
ITを使って省エネ・環境保護を行うこと。カーボンフットプリントは、商品の製造から廃棄までのCO2排出量を見える化したもの。
監査 / 決算 / 株主総会
企業が正しく活動・計算しているか第三者がチェックする(監査)、1年間の成績をまとめる(決算)、会社の所有者(株主)に報告し承認を得る(株主総会)活動です。

(2) 経営管理

① 経営管理とは

船(会社)を目的地(経営目標)へ無さに進めるための舵取り(管理)です。

PDCA
Plan-Do-Check-Act 計画(P)→実行(D)→評価(C)→改善(A)。
しっかり計画を立ててから動き、結果を振り返って次に生かす、じっくりと業務改善を回すサイクルです。
OODAループ
Observe-Orient-Decide-Act 観察(O)→情勢判断(O)→意思決定(D)→行動(A)。
刻々と変わる状況をよく見て、その場で判断し素早く動く、臨機応変な対応を重視するサイクルです。
BCP / BCM
Business Continuity Plan/Management 事業継続計画(BCP) / 事業継続管理(BCM)。
大地震や火災などの災害が起きても、会社の重要なビジネスを止めない、またはすぐに復旧するための事前の備えや管理のことです。
リスクアセスメント
  どんな危険(リスク)があるかを特定し、どれくらいヤバいか(影響度や確率)を分析・評価することです。
② ヒューマンリソースマネジメント (HRM)

「ヒト」という資源を最大限に活かすための管理です。

カテゴリ用語と意味
教育・育成 OJT: 実際の仕事をしながら教える / Off-JT: 工作を離れて研修で学ぶ
e-ラーニング: ネットを使った学習 / アダプティブラーニング: 個人に合わせて内容が変わる学習
リスキリング: 新しいスキルを学び直すこと(DX推進などで重要)
コーチング: 答えを教えず、対話で本人の気づきを促す / メンタリング: 先輩が後輩の相談に乗り助言する
制度・管理 MBO (目標による管理): 自分で目標を立てて、その達成度で評価される制度
タレントマネジメント: 社員の才能やスキルを一元管理し、最適な配置を行うこと
CDP: 社員の長期的なキャリア形成を支援するプログラム
HRテック: 人事管理にITやAIを活用すること
リテンション: 優秀な人材が辞めないように引き留める施策
働き方・心理 モチベーション: やる気 / メンタルヘルス: 心の健康
ワークエンゲージメント: 仕事に対する誇りや熱意があり、活き活きしている状態
ワークライフバランス: 仕事と私生活の調和
DE & I: 多様性、公平性、包摂性。色々な人が個性を活かして活躍できる環境づくり
テレワークの類型: 在宅勤務、モバイルワーク(カフェ等)、サテライト(郊外の拠点)、ワーケーション(リゾート地などで仕事)
リーダーの型 コンティンジェンシー理論: 状況によって最適なリーダーの行動は変わるという理論
シェアードリーダーシップ: チーム全員が状況に応じてリーダーシップを発揮すること
サーバントリーダーシップ: まずメンバーに奉仕し、支援することでチームを導く型

(3) 経営組織

機能別組織
「営業部」「開発部」のように仕事の内容(機能)で分ける。
事業部制
「家電事業部」「ゲーム事業部」のように製品や市場ごとに分ける。
マトリックス組織
「機能」と「事業」の両方に属する(上司が2人いる)網目状の組織。
カンパニー制
事業部を一つの独立した会社のように扱い、権限を大きく与える。
階層型組織 / 職能別組織
ピラミッド型の上意下達の組織。
プロジェクト組織
特定の目的のために各部門から人を集め、終われば解散する組織。
持株会社 (ホールディングス)
他の会社の株を持ち、グループ全体を支配・管理する会社。
CxO (Chief x Officer):CはChief(最高)、OはOfficer(責任者)を意味し、その間の文字で担当分野を表します。
  • CEO (Chief Executive Officer): 最高経営責任者。会社のトップ。
  • CIO (Chief Information Officer): 最高情報責任者。ITやシステム戦略のトップ。
  • CFO (Chief Financial Officer): 最高財務責任者。お金の管理や資金調達のトップ。
  • COO (Chief Operating Officer): 最高業務執行責任者。日々の業務を実際に回す現場のトップ。
  • CISO (Chief Information Security Officer): 最高情報セキュリティ責任者。情報漏洩などを防ぐ守りのトップ。

(4) 社会における IT 利活用の動向

コンピュータの処理能力向上やAIの進化により、社会が大きく変化しています。

DX (デジタルトランスフォーメーション)
ITを活用して、ビジネスモデルや組織の文化そのものを根本から変革すること。
GX (グリーントランスフォーメーション)
化石燃料からクリーンエネルギーへ転換し、経済成長と環境保護を両立する変革。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指します。
Society 5.0
狩猟→農耕→工業→情報(4.0)に続く、AIやIoTを活用して課題を解決する「超スマート社会」(データ駆動型社会)のこと。
第4次産業革命
IoT、ビッグデータ、AIなどによる産業の大きな変化。

※関連する法律として、国家戦略特別区域法(スーパーシティ法)や、データ活用を推進する官民データ活用推進基本法デジタル社会形成基本法などがあります。

過去問演習(経営・組織論)

令和元年秋期 問12

企業の経営理念を策定する意義として,最も適切なものはどれか。

  • 企業の経営戦略を実現するための行動計画を具体的に示すことができる。
  • 企業の経営目標を実現するためのシナリオを明確にすることができる。
  • 企業の存在理由や価値観を明確にすることができる。
  • 企業の到達したい将来像を示すことができる。
令和7年春期 問29

企業経営の中核となる考え方を,ミッション,ビジョン,バリューの三つに分けて示す場合,ビジョンとして示すものとして,最も適切なものはどれか。

  • 企業の存在意義や使命
  • 企業の存在意義や使命をふまえた,ある時点でのありたい姿
  • 戦略を実現するために重要となる業績管理指標
  • 戦略を実現するために重要となる成功要因
平成26年春期 問20

グリーンITの考え方に基づく取組みの事例として,適切なものはどれか。

  • LEDの青色光による目の疲労を軽減するよう配慮したディスプレイを使用する。
  • サーバ室の出入口にエアシャワー装置を設置する。
  • 災害時に備えたバックアップシステムを構築する。
  • 資料の紙への印刷は制限して,PCのディスプレイによる閲覧に留めることを原則とする。
平成28年春期 問24

部下の育成・指導事例のうち,OJTに当たるものはどれか。

  • 部下に進路と目標を設定させ,その達成計画を立てさせた。
  • 部下の進路を念頭において,人事部主催の管理者養成コースを受講させた。
  • 部下の設計能力の向上のために,新規開発のプロジェクトに参加させた。
  • 部下の専門分野と進路に合った外部主催の講習会を選定し,受講させた。
令和4年春期 問4

ITの活用によって,個人の学習履歴を蓄積,解析し,学習者一人一人の学習進行度や理解度に応じて最適なコンテンツを提供することによって,学習の効率と効果を高める仕組みとして,最も適切なものはどれか。

  • アダプティブラー二ング
  • タレントマネジメント
  • ディープラーニング
  • ナレッジマネジメント
暗和3年春期 問26

企業の人事機能の向上や,働き方改革を実現することなどを目的として,人事評価や人材採用などの人事関連業務に,AlやIoTといったITを活用する手法を表す用語として,最も適切なものはどれか。

  • e-ラーニング
  • FinTech
  • HRTech
  • コンピテンシー
暗和8年春期 問30

事業部制組織の事例はどれか。

  • AさんはX事業を実施している部門の購買組織に所属している。Y事業の購買はY事業を実施している部門の購買組織が担当している。
  • Bさんは複数の事業の人事機能を担当する組織に所属している。開発,生産,販売機能も同様に,それぞれ専門の組織が担当している。
  • Cさんは地域Mで製品Xの販売を担当しており,地域Mの販売に責任をもつ上司と製品Xの販売に責任をもつ上司の,2人の上司の指示を受けている。
  • Dさんは新規事業の企画開発を目的として関係部署から横断的に人材を集めた組織に所属している。この組織は企画開発が終わり次第解散する。
暗和7年春期 問15

事業運営における意思決定の迅速化,組織の独立採算の推進を目的とし,一つの企業の中に事業領域ごとに独立した組織を設置する組織形態はどれか。

  • カンパニー制組織
  • 機能別組織
  • プロジェクト組織
  • マトリックス組織
暗和6年春期 問6

技術戦略の策定や技術開発の推進といった技術経営に直接の責任をもつ役職はどれか。

  • CEO
  • CFO
  • COO
  • CTO
暗和8年春期 問6

デジタルトランスフォーメーションに関する説明として,最も適切なものはどれか。

  • PCやスマートフォンなどのデジタル製品を使いこなせる人と,使いこなせない人の間で様々な機会に差が生じて,社会的な格差につながること
  • 生まれた時からインターネット,PCやスマートフォンなどのデジタル製品が身近にあり,それらを利用しながら育った世代のこと
  • 音声を収集するマイクロフォンなどからのアナログ信号を,電子ファイルとして保存するためにデジタル信号に変換すること
  • デジタル技術が,人間の生活やビジネスなどのあらゆる面に影響を与え,変革をもたらしていくこと

2. 業務分析・データ利活用

(1) 業務の把握

現状の業務の問題を見つけるための情報収集手法です。

  • アンケート:多数の人から定型的な意見を集める。
  • インタビュー
    ・構造化(質問を決めておく)
    ・非構造化(雑談のように自由に聞く)
    ・半構造化(ある程度決めておき、状況により深掘りする)
  • フィールドワーク:実際に現場に行って直接観察する。

(2) 業務分析と業務計画(図表とグラフ)

① 代表的な分析手法(QC七つ道具など)
パレート図 / ABC分析

棒グラフ(降順)と折れ線グラフ(累積)を重ねた図。「売上の8割は2割の重要商品(A群)が生んでいる」など重点管理の対象を見つけるために使います。

特性要因図 (フィッシュボーン)
結果

魚の骨のような図。「結果(問題)」に対して、どんな「原因(要因)」があるかを体系的に整理し、根本原因を追求する図です。

PERT / クリティカルパス分析
1
2
3

作業の順序をアローで結んだ図。遅れるとプロジェクト全体が遅れる最長ルート(クリティカルパス)を見つけ、全体の所要日数を算出・管理します。

散布図 / 回帰分析

2つのデータの相関関係を見ます。データを直線モデルに近似する計算が最小二乗法。※実際は無関係なのに相関があるように見えるのが「擬似相関」です。

管理図

品質が安定しているか(異常がないか)を時系列の折れ線で表し、上方・下方の管理限界線を引いた図です。(赤い点は限界を超えた異常値)。

系統図 / ロジックツリー
目的
手段A
手段B

目的を達成するための「手段」を、ツリー状に階層的に分解していく図です。論理的に具体的な構成案を探ります。

(3) データ利活用

① データの種類と前処理
分類用語と意味
データの種類1次データ: 自分で集めたデータ / 2次データ: 他人が集めた既存データ(統計など)
量的データ: 数値で計測できるもの / 質的データ: 状態や属性(性別など)
時系列データ: 時間経過を追ったデータ / クロスセクションデータ: ある一時点のデータ面
GISデータ: 位置情報(地理空間)データ / メタデータ: データ構造の説明情報
前処理
(下ごしらえ)
名寄せ: 表記揺れ(㈱と株式会社など)を一元統一する
クレンジング: 空欄(欠損値)や異常値を加工・除外する
サンプリング: 一部を抽出する / アノテーション: AI用に正解のタグをつける作業
移動平均: 季節の短期的な変動を慣らして中長期傾向を見やすくする処理
② 統計情報の活用(バイアスと抽出)
  • 標本抽出:母集団から一部のサンプルを取り出すこと。(全数調査=国勢調査、サンプル調査=世論調査など。無作為抽出や層別抽出法がある)。
  • バイアス(偏り):選択バイアス(回収した回答が特定の層に偏る)、認知バイアス(思い込みや確証バイアスなど)。
  • 仮説検定:統計的に効果や差異があるかを検証する。本当は差がないのに「差がある」とする第1種の誤り、差があるのに見逃す第2種の誤りに留意します。
③ データサイエンスとビッグデータ
ビッグデータ
量(Volume)、多様性(Variety)、発生速度(Velocity)の3Vを備えた巨大なデータ群。
データウェアハウス (DWH)
目的別に時系列で整理して保管された「データの巨大倉庫」。
BI (Business Intelligence)
社内のデータを分析・ダッシュボード可視化し、意思決定に役立てる手法やツール。
データマイニング
膨大なデータから統計や機械学習で相関や法則を採掘(マイニング)する技術。文章対象はテキストマイニング。
データサイエンティスト
IT、統計学、ビジネスの3スキルをバランスよく持ち、帰納的推論を用いて価値を創出する専門家。

(4) 意思決定 / (5) 問題解決手法

デシジョンツリー
決定木。確率と期待値を計算し、最適な意思決定を樹形図のルートから選択する手法。
シミュレーション
確定モデルや確率モデルを構築して予測する。現実の気象データ等を取り込んで精度を高める処理をデータ同化と呼びます。
ブレーンストーミング
自由なアイデア創出法。「批判禁止」「自由奔放」「質より量」「結合改善(便乗OK)」の4原則を厳守します。
親和図法
収集した定性データを、親和性(親しさ・関連性)のあるグループごとにまとめて整理・構造化する手法。

過去問演習(業務分析・データ利活用)

令和3年春期 問21

ABC分析の事例として,適切なものはどれか。

  • 顧客の消費行動を,時代,年齢,世代の三つの観点から分析する。
  • 自社の商品を,売上高の高い順に三つのグループに分類して分析する。
  • マーケティング環境を,顧客,競合,自社の三つの観点から分析する。
  • リピート顧客を,最新購買日,購買頻度,購買金額の三つの観点から分析する。
令和6年春期 問14

ある商品の販売量と気温の関係が一次式で近似できるとき,予測した気温から商品の販売量を推定する手法として,適切なものはどれか。

  • 回帰分析
  • 線形計画法
  • デルファイ法
  • パレート分析
令和5年春期 問6

A社では,顧客の行動や天候,販売店のロケーションなどの多くの項目から成るデータを取得している。これらのデータを分析することによって販売数量の変化を説明することを考える。その際,説明に使用するパラメータをできるだけ少数に絞りたい。このときに用いる分析法として,最も適切なものはどれか。

  • ABC分析
  • クラスター分析
  • 主成分分析
  • 相関分析
令和4年春期 問31

コールセンターの顧客サービスレベルを改善するために,顧客から寄せられたコールセンター対応に関する苦情を分類集計する。苦情の多い順に,件数を棒グラフ,累積百分率を折れ線グラフで表し,対応の優先度を判断するのに適した図はどれか。

  • PERT図
  • 管理図
  • 特性要因図
  • パレート図
令和8年春期 問16

教師あり学習において,正解となる情報を付与する作業を表す用語として,最も適切なものはどれか。

  • アノテーション
  • エンコード
  • データクレンジング
  • フィルタリング
令和7年春期 問22

営業部のAさんは,営業担当者10人の営業成績が一目で分かるように,各営業担当者が提出する営業見込みと実績を毎月集約してグラフ化したいと考えている。この問題を解決するために適用する技術やツールとして,最も適切なものはどれか。

  • データを学習し,分析するAI
  • データを自動収集し,データベースに蓄積するIoT
  • 入力したデータを,加工して見せるオフィスツール
  • ビッグデータを,様々な手法で分析するデータサイエンス
令和8年春期 問10

会議に関する記述のうち,ブレーンストーミングの進め方として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

a 自由奔放なアイディアは控え,実現可能なアイディアの提出を求める。
b ほかのメンバーのアイディアに便乗した案であっても,とがめずに進める。
c メンバーから出されるアイディアの中で,テーマに適したものを選択しながら進める。
  • a
  • a,b
  • a,b,c
  • b

3. 会計・財務

会社のお金の流れや、利益を出すための計算の仕組みを学びます。

(1) 会計と財務

① 売上と利益の関係(損益分岐点)

費用(原価)には2種類あります。

  • 固定費:売上の多少に関わらず一律・毎月かかる経費(家賃、固定人件費など)。
  • 変動費:売上の物量に比例して増減する経費(材料費、仕入費など)。
損益分岐点 (赤字と黒字の境目)

売上高と、総費用(固定費+変動費)が同額になり、損益がプラスマイナス「ゼロ」になる売上高。これを超えれば黒字化します。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
※変動費率 = 変動費 ÷ 売上高
【具体例】カレー屋さんの損益分岐点

1杯1,000円のカレーを売るお店を想定します。

  • 固定費:家賃や固定費 = 30万円
  • 変動費:材料費などの原価(1杯分) = 400円

▼ 限界利益からの逆算(何杯売れば固定費を回収できる?)
カレー1杯の販売により、1,000円 - 400(変動費) = 600円の粗利(限界利益)が手残ります。
この600円で毎月の重荷である固定費30万円を相殺するための必要数を計算します。
300,000円 ÷ 600円 = 500杯
つまり、500杯(売上金額にして50万円)のラインがこの店舗の損益分岐点となります。


▼ 公式を用いた算出(損益分岐点売上高はいくら?)

  1. 変動費率: 400円(変動費) ÷ 1,000円(単価) = 0.4
  2. 公式へ適用:
    損益分岐点売上高 = 300,000円(固定費) ÷ (1 - 0.4)
    損益分岐点売上高 = 300,000円 ÷ 0.6 = 500,000円(50万円)
② 財務諸表(決算書)の種類

主要な決算書「B/S」と「P/L」の構造を押さえましょう。

貸借対照表 (バランスシート:B/S)

決算時点における、企業の**「財政状態(資産状況)」**の一覧図です。左側(資産の運用内容)と右側(調達元の内訳)の合算は必ず一致します。

資産 (総資産)
現金、預金、売掛金、在庫、建物、土地等
(会社が所有するプラスの権利・財産)
負債 (他人資本)
借入金、買掛金、社債など
(将来、返済義務を負うマイナスの債務)
純資産 (自己資本)
資本金、利益剰余金など
(返済の必要がない自前の正味財産)
※資産 - 負債 = 純資産
自己資本比率
総資本(負債+純資産)に占める、自己資本(純資産)の構成割合。
自己資本比率(%) = (自己資本 ÷ 総資本) × 100
※この比率が高いほど、債務超過のリスクが低く健全性に優れます。
損益計算書 (P/L)

一定の会計期間における、企業の**「経営成績(利益の創出)」**の報告書です。段階的に経費を引いて5つの利益を算出します。

売上高 (本業の総売上)1,000円
▲ 売上原価 (製造や仕入れのコスト)300円
① = 売上総利益 (粗利)700円
▲ 販売費及び一般管理費 (販管費:給与・家賃など)400円
② = 営業利益 (本業の儲け)300円
+ 営業外収益 (受取利息など)20円
▲ 営業外費用 (支払利息など)10円
③ = 経常利益 (経常的な会社の活動実態)310円
+ 特別利益 (固定資産売却益など臨時利益)0円
▲ 特別損失 (災害損失など臨時損失)100円
④ = 税引前当期純利益210円
▲ 法人税等60円
⑤ = 当期純利益 (最終的な正味の当期利益)150円
キャッシュフロー計算書 (C/F)

実際の**「現金の流出入(キャッシュ)」**にフォーカスした調書です。帳簿上の黒字だけで安心せず、手元現金不足による黒字倒産を未然に予測・監視するために、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の各セクションで流れを追います。

③ 経営分析の指標と税金
流動比率 (安全性)
短期の支払い能力を評価する指標(流動資産 ÷ 流動負債 × 100)。短期安全性の指標です。
ROI
Return On Investment(投資利益率)
プロジェクト投資に対する収益獲得割合。投資対効果の測定尺度です。
計算式: ROI(%) = (利益 ÷ 投資額) × 100
ROE
Return On Equity(自己資本利益率)
株主の資金(純資産・自己資本)が、どれだけ当期純利益に効率的に結びついたかの資本収益性指標。
計算式: ROE(%) = (当期純利益 ÷ 自己資本) × 100
インボイス制度
消費税計算を厳格化する「適格請求書等保存方式」。仕入税額控除を適用するための登録番号付き請求書(インボイス)の受受・保存ルールです。

過去問演習(会計・財務)

令和7年春期 問34

ある商品を5,000個販売したところ,売上げが6,000万円,利益が400万円となった。商品1個当たりの変動費が7,000円であるとき,利益を1,000万円以上にするためには,少なくともあと何個販売すればよいか。

  • 500
  • 1,200
  • 6,200
  • 7,500
令和5年春期 問4

ASP利用方式と自社開発の自社センター利用方式(以下"自社方式"という)の採算性を比較する。次の条件のとき,ASP利用方式の期待利益(効果額-費用)が自社方式よりも大きくなるのは,自社方式の初期投資額が何万円を超えたときか。ここで,比較期間は5年とする。
〔条件〕
両方式とも,システム利用による効果額は500万円/年とする。
ASP利用方式の場合,初期費用は0円,利用料は300万円/年とする。
自社方式の場合,初期投資額は定額法で減価償却計算を行い,5年後の残存簿価は0円とする。また,運用費は100万円/年とする。金利やその他の費用は考慮しないものとする。

  • 500
  • 1,000
  • 1,500
  • 2,000
平成31年春期 問18

貸借対照表を説明したものはどれか。

  • 一定期間におけるキャッシュフローの状況を活動区分別に表示したもの
  • 一定期間に発生した収益と費用によって会社の経営成績を表示したもの
  • 会社の純資産の各項目の前期末残高,当期変動額,当期末残高を表示したもの
  • 決算日における会社の財務状態を資産・負債・純資産の区分で表示したもの
財和3年春期 問29

粗利益を求める計算式はどれか。

  • (売上高)-(売上原価)
  • (営業利益)+(営業外収益)-(営業外費用)
  • (経常利益)+(特別利益)-(特別損失)
  • (税引前当期純利益)-(法人税,住民税及び事業税)
平成31年春期 問34

商品の販売数が700個のときの営業利益は表のとおりである。拡販のために販売単価を20%値下げしたところ,販売数が20%増加した。このときの営業利益は何円か。ここで,商品1個当たりの変動費は変わらないものとする。

損益計算表
  • 200,000
  • 204,000
  • 260,000
  • 320,000
令和2年秋期 問30

企業の収益性を測る指標の一つであるROEの"E"が表すものはどれか。

  • Earnings(所得)
  • Employee(従業員)
  • Enterprise(企業)
  • Equity(自己資本)
令和6年春期 問30

上司から自社の当期の損益計算書を渡され,"我が社の収益性分析をしなさい"と言われた。経営に関する指標のうち,この損益計算書だけから計算できるものだけを全て挙げたものはどれか。

a 売上高増加率
b 売上高利益率
c 自己資本利益率
  • a
  • a,b
  • a,b,c
  • b