1. 経営戦略手法

企業がライバルに勝ち、生き残るための「作戦(戦略)」を立てるための分析方法や用語を学びます。

(1) 経営情報分析手法

やみくもに作戦を立てるのではなく、自社の現状や周りの環境を正しく「分析」するためのフレームワーク(型)です。

SWOT (スウォット) 分析

企業の環境を「内部/外部」と「プラス/マイナス」の4つに分けて分析し、戦略を練る手法です。

Strength (強み)
内部のプラス要因
(例:技術力が高い、資金がある)
Weakness (弱み)
内部のマイナス要因
(例:知名度がない、人が足りない)
Opportunity (機会)
外部のプラス要因
(例:法改正で追い風、ブーム到来)
Threat (脅威)
外部のマイナス要因
(例:強力なライバル出現、不況)

内部環境は自分たちでコントロールできるもの(S/W)、外部環境は自分たちではコントロールできない世の中の動き(O/T)です。

PPM (Product Portfolio Management)

複数の事業をやっている会社が、「どの事業にお金(投資)を集中させるか」を決めるための図です。「市場成長率(市場がどれだけ伸びているか)」と「市場シェア(自社の占有率)」の2軸で4つに分類します。

分類市場成長率市場シェア戦略(どうすべきか)
花形 (Star)高い高い現在儲かっているが、ライバルに負けないよう投資も必要な状態。
金のなる木 (Cash Cow)低い高い投資しなくても安定して利益が出る状態。ここで稼いだお金を他に回す。
問題児 (Question Mark)高い低い市場は伸びているがシェアが低い。お金を注ぎ込んで「花形」に育てるか、撤退するか見極める。
負け犬 (Dog)低い低い利益が出ず、将来性もない。早めに「撤退」を検討すべき事業。
その他の分析手法・予測手法
VRIO 分析
自社の経営資源(強み)が、本当に競争力があるかを4つの視点(Value:経済的価値、Rarity:希少性、Inimitability:模倣困難性、Organization:組織)で評価する手法です。
3C 分析
ビジネスの現状を、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの「C」の視点から分析し、成功の鍵を見つける手法です。
フェルミ推定
実際に調査するのが難しいような途方もない数量を、いくつかの手がかりから論理的に推論して概算する手法です。
例:「日本に電柱は何本あるか?」を、「面積と人口密度」などの知っている知識から計算して予測します。
デルファイ法
複数の専門家に対して「匿名でアンケートをとり、その結果をまとめて再度アンケートをとる」という手順を繰り返すことで、意見を一つに収束させていく「未来予測」の手法です。
※他人の意見に流されず、純粋な専門知識を集めたいときに使います。

(2) 経営戦略に関する用語

試験で頻出する重要なビジネス用語をカテゴリ別に整理しました。

コトラーの競争戦略

市場における「自社の立ち位置(シェアの広さ)」に合わせて、どのような戦い方をするべきかを4つに分類した戦略です。

立ち位置説明と戦い方
リーダー
(市場シェアトップ)
業界の絶対王者。市場全体を広げつつ、下位の企業が新しいことをしたらすぐに真似て潰す(同質化戦略)をとり、トップの座を守ります。
チャレンジャー
(シェア2〜3番手)
トップを狙う挑戦者。リーダーの弱点を突いたり、商品に明らかな違い(差別化戦略)を持たせてシェアを奪いにいきます。
フォロワー
(シェア下位)
リーダーやチャレンジャーの成功パターンを真似て、開発費を抑えながらそこそこの利益を狙う(模倣戦略)ポジションです。
ニッチャー
(隙間市場のトップ)
大企業が手を出さないような特定の狭い市場(ニッチ市場)に特化し、そこに資源を集中させてミニトップを狙う(集中戦略)ポジションです。
基本戦略・自社の強み
  • 競争優位: ライバル企業よりも優れている点(安く作れる、品質が良いなど)のこと。
  • コアコンピタンス: 他社には絶対に真似できない、自社ならではの圧倒的な強み(例:ホンダの小型エンジン技術)。
  • イノベーション: 単なる技術革新だけでなく、新しいアイデアから社会的意義のある「新たな価値」を創造し、社会に大きな変化をもたらすこと。
  • ブルーオーシャン戦略: 血みどろの競争が激しい既存市場(レッドオーシャン)を避け、ライバルがまだいない全く新しい未開拓の市場(ブルーオーシャン)を創り出す戦略。
企業の成長・連携・再編
  • アライアンス: 企業同士が、お互いの弱みを補い強みを活かすために「提携」や「協力」をすること。
  • ジョイントベンチャー (合弁会社): 複数の企業がお互いにお金を出し合い、共同で新しい会社を作って事業を行うこと。(アライアンスの一種で、より結びつきが強い)
  • M&A (Mergers and Acquisitions): 企業同士の「合併」や「買収」。他社を買い取って一気に事業を拡大したり、新しい技術を手に入れたりする手法。
  • TOB (Take Over Bid): 株式公開買付け。M&Aの一種で、「〇〇会社の株を〇円で買います」と世間に発表し、市場から株を大量に買い集めて会社を買収する手法。
  • MBO (Management Buyout): 経営陣が、自社の株を株主から買い取って、自分たちで会社の所有権(経営権)を握ること。
  • エコシステム: 本来は「生態系」の意味ですが、ビジネスでは複数の企業や消費者が互いに連携し、業界全体で共存共栄していく大きな仕組みのこと(例:Appleのアプリ開発者やスマホケース販売業者が集まる市場)。
製造・供給・業務の仕組み
  • アウトソーシング: 自社の業務の一部を、外部の専門業者に委託(外注)すること。自社の得意分野に集中するために行います。
  • OEM (Original Equipment Manufacturer): 「相手先のブランド(名前)」で商品を製造すること。(例:セブンイレブンの「セブンプレミアム」のお菓子を、有名メーカーが製造している状態)。
  • ファブレス: 工場(ファブリック)を持たない(レス)企業。企画や設計だけを自社で行い、製造はすべて他社(OEMなど)に任せるビジネスモデル。(例:Apple、任天堂)。
  • フランチャイズチェーン (FC): 本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対し、お店の名前やノウハウを提供する代わりに、売上の一部(ロイヤリティ)をもらう仕組み。(例:コンビニ)。
  • 垂直統合: 商品の開発から製造、販売までの一連の流れを、すべて自社(または自社グループ)で抱え込むこと。(例:ユニクロのSPAモデル)。
  • ロジスティクス: 単なる「物流(運送)」だけでなく、部品の調達から生産、販売に至るまでのモノの流れ全体を効率よく管理すること。
経済現象・その他の用語
  • 規模の経済: 生産量が増えれば増えるほど、1個あたりのコスト(固定費の割合など)が下がり、利益が出やすくなる現象(スケールメリット)。
  • 経験曲線 (エクスペリエンスカーブ): 製品の累積生産量が増える(経験を積む)ほど、作業員のスキルアップや効率化が進み、製品1個あたりのコストが下がっていく現象。
  • コモディティ化: 商品が普及しすぎて、どの会社の製品も品質や機能に差がなくなり(一般化・日用品化)、単なる「価格競争」に陥ってしまう現象。(例:テレビやパソコン)。
  • カニバリゼーション: 「共食い」の意味。自社が新しく出した商品が、自社の既存の商品の売上を奪ってしまう現象。
  • ベンチマーキング: 業界の最強ライバルや優れた企業のやり方(ベストプラクティス)を徹底的に分析し、自社のやり方と比較して改善を図る手法。
  • ESG 投資: 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance:企業統治)に配慮している企業を重視して投資を行うこと。儲けだけでなく社会貢献度を評価します。

過去問演習(経営戦略手法)

出典:令和7年春期 問14

事業,経営情報に知財情報を組み込んで分析し,現状の俯瞰や将来展望などの分析結果を事業責任者,経営者と共有し,事業戦略又は経営戦略に反映させることを表す用語として,最も適切なものはどれか。

  • CVC(Corporate Venture Capital)
  • IPランドスケープ(Intellectual Property Landscape)
  • MOT(Management of Technology)
  • SWOT分析
出典:平成31年春期 問26

自社の商品についてPPMを作図した。"金のなる木"に該当するものはどれか。

PPMの図表
  • A商品
  • B商品
  • C商品
  • D商品
出典:令和7年春期 問4

投資の優先度などの経営の戦略を策定するために,経済価値,希少性,模倣困難性及び組織の四つの要素で評価することによって,自社のもつ資源を分析する手法として,最も適切なものはどれか。

  • 4P
  • PPM
  • SWOT分析
  • VRIO分析
出典:平成30年秋期 問29

画期的なビジネスモデルの創出や技術革新などの意味で用いられることがある用語として,最も適切なものはどれか。

  • イノベーション
  • マイグレーション
  • リアルオプション
  • レボリューション
出典:令和8年春期 問32

ニッチ戦略の事例として,最も適切なものはどれか。

  • アパレルメーカーA社は,生産コストを下げるために,生産拠点を海外に移した。また,大量に販売が見込めるカジュアルウェアを中心に,安価な商品を全国で販売することにした。
  • 業界2位の食品メーカーB社は,トップシェアを獲得するために,業界3位のC社と経営統合することにした。
  • 金属加工メーカーD社は,自社固有の加工技術を生かして,密閉度の極めて高い高価な無水調理鍋を高級レストラン向けに販売することにした。
  • 電機メーカーE社は,販売量が減ってきた中型テレビ事業を売却し,完全撤退することにした。
出典:平成29年春期 問8

企業の事業展開における垂直統合の事例として,適切なものはどれか。

  • あるアパレルメーカーは工場の検品作業を関連会社に委託した。
  • ある大手商社は海外から買い付けた商品の販売拡大を目的に,大手小売店を子会社とした。
  • ある銀行は規模の拡大を目的に,M&Aによって同業の銀行を買収した。
  • 多くのPC組立メーカーが特定のメーカーの半導体やOSを採用した。
出典:平成27年春期 問17

企業の商品戦略上留意すべき事象である"コモディティ化"の事例はどれか。

  • 新商品を投入したところ,他社商品が追随して機能の差別化が失われ,最終的に低価格化競争に陥ってしまった。
  • 新商品を投入したところ,類似した機能をもつ既存の自社商品の売上が新商品に奪われてしまった。
  • 新商品を投入したものの,広告宣伝の効果が薄く,知名度が上がらずに売上が伸びなかった。
  • 新商品を投入したものの,当初から頻繁に安売りしたことによって,目指していた高級ブランドのイメージが損なわれてしまった。

2. マーケティング

「どうすれば商品が売れるか」「顧客に選ばれるか」を考え、売れる仕組みを作る活動を学びます。

(1) マーケティングの基礎

① 4P と 4C(売る側の視点 vs 買う側の視点)

マーケティングを考える際の基本となる4つの要素です。企業側(4P)と顧客側(4C)はそれぞれ対応しています。

4P (企業側の視点)4C (顧客側の視点)
Product(製品:何を売るか)Customer Value(顧客にとっての価値)
Price(価格:いくらで売るか)Cost(顧客が払うコスト)
Place(流通・販売場所:どこで売るか)Convenience(顧客にとっての利便性)
Promotion(販売促進:どうやって知ってもらうか)Communication(顧客とのコミュニケーション)
② 顧客体験と分析手法
UX と CX

UX (User Experience): ユーザーが「製品やシステム」を使ったときに得られる体験や感情(使いやすい、楽しいなど)。
CX (Customer Experience): お店を知ってから、買い、使った後のサポートまで「企業との関わり全て」における顧客体験。

カスタマージャーニーマップ

顧客が商品を知り、比較し、購入し、ファンになるまでの「行動・思考・感情」のプロセスを旅(ジャーニー)に見立てて時系列で地図(マップ)のように図式化したもの。

RFM 分析

顧客を優良顧客かどうか分類する手法。
Recency(最近いつ買ったか)、Frequency(何回買ったか)、Monetary(いくらお金を使ったか)の3つの指標でスコアをつけます。

③ 成長と製品の寿命・普及の法則
アンゾフの成長マトリクス

事業を成長させるための方向性を「製品」と「市場(顧客)」が、それぞれ「既存か新規か」の2軸で4つに分けた図。

既存製品新規製品
既存市場市場浸透
(もっと買ってもらう)
製品開発
(新商品を売る)
新規市場市場開拓
(新しい客層に売る)
多角化
(全く新しい挑戦)
プロダクトライフサイクル

製品が市場に出てから姿を消すまでの寿命を4つの段階に分けた考え方。

  1. 導入期:認知度が低く、広告費がかかり赤字。
  2. 成長期:売上・利益が急激に伸びる。ライバルも参入。
  3. 成熟期:市場が飽和し、売上が頭打ち。シェア争い。
  4. 衰退期:売上・利益が落ちていく。撤退を検討。
イノベーター理論とキャズム

新しい商品やサービスが世の中にどう広まっていくかを、消費者の「新しもの好き度合い」で5つのグループに分けた理論です。

  • イノベーター (革新者): 冒険心にあふれ、とにかく最新のものを誰よりも早く手に入れる層。(例:新しいiPhoneが出たら徹夜して並んで買う人たち)
  • アーリーアダプター (初期採用者): 流行に敏感で、自ら情報を発信する層。世間に流行を広める「オピニオンリーダー」になるため、ここを掴むことが大ヒットの鍵になります。
  • アーリーマジョリティ (前期追随者): 新しいものには慎重だが、世の中の流行を見てから取り入れる平均的な層。(例:周りの友達が持ち始めたから自分も買う人)
  • レイトマジョリティ (後期追随者): 新しいものに疑り深く、世の中の大半が使い始めてからしぶしぶ使い始める層。
  • ラガード (遅滞者): 最も保守的で、最後まで新しいものを取り入れない層。(例:最後までガラケーを使い続ける人)
キャズム (深い溝):
アーリーアダプター(新しもの好き)と、アーリーマジョリティ(普通の人たち)の間にある、なかなか越えられない大きな壁のこと。ここを越えられないと商品は世間の大衆には広まらず、一部のマニア向けで終わってしまいます。
④ その他のマーケティング基本用語
  • マーチャンダイジング (MD): 消費者が求める商品を、適切な数量、適切な価格、適切なタイミングで店頭に並べるための「商品計画や品揃え」のこと。(例:コンビニが真夏にアイスの棚を広げ、冬にレジ横におでんを置くような工夫)
  • 市場調査 (マーケティングリサーチ): 顧客のニーズや競合の状況を調べること。
  • 販売・製品・仕入計画: 「何を・どれだけ仕入れて・どう売るか」の計画。
  • 広告 / 販売促進 (セールスプロモーション): テレビCMやチラシ、おまけ付け、割引キャンペーンなど、消費者の購買意欲を高める活動。
  • 顧客満足 (CS - Customer Satisfaction): 顧客の期待を製品・サービスが上回ったときに生まれる感情。
  • オピニオンリーダー: 新しい商品や情報をいち早く取り入れ、SNSや口コミなどで周りの人の購買行動に大きな影響を与える人(インフルエンサーなど)。
  • オムニチャネル: 実店舗、オンラインショップ、SNSなど、あらゆる販売経路(チャネル)をシームレスに統合し、顧客がどこからでも同じように買えるようにする戦略。
  • ブランド戦略: 商品や企業に対する「〇〇といえばこれ!」という独自の価値やイメージを築き上げ、ファンを増やす戦略。
  • ポジショニング: ターゲットとする顧客の頭の中で、自社の商品を「どのような立ち位置(安さ、高品質、便利など)」として認識させるかを決めること。

各種マーケティング・価格設定手法

(2) マーケティング手法の種類
  • セグメントマーケティング: 市場を年齢や性別などで細かく分け(セグメンテーション)、特定の層を狙い撃ちする手法。
  • ダイレクトマーケティング: 中間業者を挟まず、メーカーが消費者に直接アプローチして販売する手法(DMや通販など)。
  • クロスメディアマーケティング: テレビ、雑誌、Webなど複数のメディアを組み合わせ、相乗効果を狙う手法(「続きはWebで!」など)。
  • インバウンドマーケティング: ブログやSNSで役立つ情報を発信し、顧客の方から「見つけてもらう」のを待つ手法(押し売りしない)。
  • ロケーションベースマーケティング: スマホのGPS(位置情報)を利用し、「今その場所にいる人」に限定してクーポンなどを送る手法。

  • プッシュ戦略: メーカーが小売店に働きかけて、商品を店頭の目立つ場所に置かせたり、販売員に「押し出(プッシュ)」して売ってもらう戦略。
  • プル戦略: テレビCMなどの広告を大量に打ち、消費者が「あれ欲しい!」とお店に「引き寄せ(プル)」られるようにする戦略。
(3) Web マーケティング用語
  • インターネット広告: Web上の広告全般。
  • バナー広告: Webサイト上の画像や動画の枠(バナー)をクリックさせる広告。
  • リスティング広告 (検索連動型広告): Googleなどでユーザーが検索したキーワードに合わせて、検索結果の上部に表示されるテキスト広告。
  • SEO (検索エンジン最適化): 広告費を払わずに、Googleの検索結果で自分のサイトが上位に表示されるようにサイトを工夫・改善すること。
  • オプトインメール広告: あらかじめ「広告メールを受け取ります」と同意(オプトイン)したユーザーにだけ送るメルマガ。
  • アフィリエイト: 個人のブログ等に企業の広告を貼り、そこから商品が売れたらブログ管理者に報酬が支払われる「成果報酬型広告」。
  • レコメンデーション: 顧客の購入履歴や閲覧履歴から「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とおすすめを表示する機能。
  • A/B テスト: デザインやキャッチコピーが違う2パターンのWebページ(AとB)を用意し、どちらがよりクリックされるか等を比較検証するテスト。
  • ロングテール: 「あまり売れないマニアックな商品(恐竜のしっぽの部分)」でも、ネット通販なら陳列スペースの制限がないため、それらを大量に集めれば、大ヒット商品の売上を上回る大きな利益になるという考え方。(例:Amazonが、年に1冊しか売れないような専門書を何百万冊も揃えることで稼ぐモデル)
デジタルサイネージ: 電子看板。駅や店頭にディスプレイを置き、映像や情報を流す広告システム(Webと連動することが多い)。
(4) 価格設定手法
スキミングプライシング
(上澄み吸収価格)
新商品の発売時に、最初はあえて「高い価格」を設定し、高くても買ってくれる新しいモノ好きの層から確実に利益を回収(上澄みをすくう)手法。(例:最新のiPhoneや家電)
ペネトレーションプライシング
(市場浸透価格)
新商品の発売時に、最初はあえて「安い価格」を設定し、一気に顧客を獲得して市場シェアを奪う(浸透させる)手法。後から利益を回収します。(例:牛丼チェーンの低価格戦略、ヤフーBBの無料モデム配り)
ダイナミックプライシング
(変動料金制)
需要と供給のバランスに合わせて、AIなどが「価格をリアルタイムに変動させる」手法。混んでいる時は高く、空いている時は安くします。(例:飛行機のチケット、ホテル、遊園地の入場料)

過去問演習(マーケティング)

出典:平成29年秋期 問32

マーケティングミックスにおける売り手から見た要素は4Pと呼ばれる。これに対応する買い手から見た要素はどれか。

  • 4C
  • 4S
  • AIDMA
  • SWOT
出典:令和2年秋期 問18

UX(User Experience)の説明として,最も適切なものはどれか。

  • 主に高齢者や障害者などを含め,できる限り多くの人が等しく利用しやすいように配慮したソフトウェア製品の設計
  • 顧客データの分析を基に顧客を識別し,コールセンターやインターネットなどのチャネルを用いて顧客との関係を深める手法
  • 指定された条件の下で,利用者が効率よく利用できるソフトウェア製品の能力
  • 製品,システム,サービスなどの利用場面を想定したり,実際に利用したりすることによって得られる人の感じ方や反応
出典:平成28年秋期 問32

データベース化された顧客情報を活用し,優良顧客を抽出する方法として,適切なものはどれか。

  • 3C分析
  • RFM分析
  • SWOT分析
  • バリューチェーン分析
出典:平成30年春期 問1

製品と市場が,それぞれ既存のものか新規のものかで,事業戦略を"市場浸透","新製品開発","市場開拓","多角化"の四つに分類するとき,"市場浸透"の事例に該当するものはどれか。

  • 飲料メーカーが,保有技術を生かして新種の花を開発する。
  • カジュアル衣料品メーカーが,ビジネススーツを販売する。
  • 食品メーカーが,販売エリアを地元中心から全国に拡大する。
  • 日用品メーカーが,店頭販売員を増員して基幹商品の販売を拡大する。
出典:令和7年春期 問35

マーケティング戦略の策定プロセスのうち,自社製品の差別化ポイントを明確化するものはどれか。

  • セグメンテーション
  • ターゲティング
  • プロモーション
  • ポジショニング
出典:令和5年春期 問3

観光などで訪日した外国人が国内にもたらす経済効果を示す言葉として,最も適切なものはどれか。

  • アウトソーシング
  • アウトバウンド需要
  • インキュベーター
  • インバウンド需要
出典:令和8年春期 問23

インターネット広告の手法の一つである,リスティング広告に関する記述として,最も適切なものはどれか。

  • Webサイトの閲覧履歴やオンラインショッピングの購買履歴などの利用者の行動履歴を基にして,広告を表示する。
  • 検索エンジンの利用者が検索ボックスに入力したキーワードに連動して,広告を表示する。
  • 事前に広告メールの受信を許諾した利用者に対して,広告メールを配信する。
  • 定期的に発行するメールマガジンに,広告を掲載して配信する。
出典:令和3年春期 問16

マーチャンダイジングの説明として,適切なものはどれか。

  • 消費者のニーズや欲求,購買動機などの基準によって全体市場を幾つかの小さな市場に区分し,標的とする市場を絞り込むこと
  • 製品の出庫から販売に至るまでの物の流れを統合的に捉え,物流チャネル全体を効果的に管理すること
  • 店舗などにおいて,商品やサービスを購入者のニーズに合致するような形態で提供するために行う一連の活動のこと
  • 配送コストの削減と,消費者への接触頻度増加によるエリア密着性向上を狙って,同一エリア内に密度の高い店舗展開を行うこと
出典:令和3年春期 問8

画期的な製品やサービスが消費者に浸透するに当たり,イノベーションへの関心や活用の時期によって消費者をアーリーアダプター,アーリーマジョリティ,イノベーター,ラガード,レイトマジョリティの五つのグループに分類することができる。このうち,活用の時期が2番目に早いグループとして位置付けられ,イノベーションの価値を自ら評価し,残る大半の消費者に影響を与えるグループはどれか。

  • アーリーアダプター
  • アーリーマジョリティ
  • イノベーター
  • ラガード
出典:平成26年春期 問18

インターネットショッピングのロングテール現象の説明として,適切なものはどれか。

  • 売上高の大きな商品から得られる利益によって,売上高の小さな商品による損失をカバーすることができること
  • 商品を手にとって見ることができないので,店舗販売に比べて販売開始からヒット商品になるまでの時間が長く掛かるようになること
  • 販売に必要なコストが少ないので,売上高の小さな商品を数多く取り扱うことによって利益を上げられること
  • ブログに書かれた評価などの影響によって,商品の発売直後から販売が好調で,時間が経過しても衰えないこと

3. ビジネス戦略と目標・評価

立てた戦略がうまくいっているか、目標を設定して評価するフレームワークを学びます。

(1) 情報分析手法・目標設定手法

BSC (Balanced Scorecard:バランススコアカード)

企業の業績を「お金(財務)」だけでなく、4つの異なる視点からバランスよく評価・管理する手法です。

財務の視点
業績やお金の目標
(例:売上アップ、コスト削減)
顧客の視点
顧客からどう見られるか
(例:顧客満足度、リピート率)
内部ビジネスプロセスの視点
業務をどう効率化するか
(例:製造リードタイム短縮)
学習と成長の視点
従業員の能力向上やインフラ
(例:資格取得数、ITツール導入)
目標と評価の階層 (KGI → CSF → KPI)

最終目標を達成するために、何を成功の鍵とし、どう数値を測るかというピラミッド(KPIツリー)構造です。

① KGI (Key Goal Indicator:重要目標達成指標)
ビジネスの最終的なゴールを数値化したもの。
(例:今年の売上を1億円にする)
② CSF (Critical Success Factors:重要成功要因)
KGIを達成するために、絶対にやらなければならない重要な課題
(例:新規顧客の数を増やすこと)
③ KPI (Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
CSFがうまく進んでいるかをチェックするための途中経過の数値目標
(例:毎月1,000件のテレアポをする、Webサイトへのアクセスを月10万PVにする)
その他の目標設定・分析用語
  • バリューエンジニアリング (VE): 製品の「価値(Value)」を、機能(Function)とコスト(Cost)の関係で評価し、価値を最大化する手法。(式:価値 = 機能 ÷ コスト)。コストを下げるか、機能を上げることで価値が高まります。
  • GROW モデル: コーチングなどで目標設定を導くフレームワーク。Goal(目標)、Reality(現状)、Options(選択肢)、Will(意志)の順で思考を整理します。
  • SMART: 良い目標を立てるための5つの条件。Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Related(経営目標に関連している)、Time-bound(期限がある)。

過去問演習(ビジネス戦略と目標・評価)

出典:平成31年春期 問7

企業のビジョンや戦略を実現するために,"財務","顧客","業務プロセス","学習と成長"の四つの視点から,具体的に目標を設定して成果を評価する手法はどれか。

  • PPM
  • SWOT分析
  • バランススコアカード
  • マーケティングミックス
出典:令和元年秋期 問11

情報システム戦略において定義した目標の達成状況を測定するために,重要な業績評価の指標を示す用語はどれか。

  • BPO
  • CSR
  • KPI
  • ROA
出典:令和8年春期 問7

製品やサービスの価値を機能とコストの関係で把握し,価値の向上をはかる"バリューエンジニアリング"という手法がある。バリューエンジニアリングにおける価値,機能,コストの関係性を示すものとして,適切なものはどれか。

  • 価値=機能/(コスト+機能)
  • 価値=機能/コスト
  • 価値=機能×コスト
  • 価値=コスト/機能

4. 経営管理システム

企業活動全体や、顧客・モノの流れをITの力で効率的に管理するシステムや考え方を学びます。

(1) 経営管理システム

ERP (企業資源計画)

Enterprise Resource Planning。
人事、経理、生産、営業など、企業のあらゆる部門の情報を「1つのシステム(ERPパッケージ)」で統合管理し、経営の効率化を図る手法。

CRM (顧客関係管理)

Customer Relationship Management。
顧客の属性、購入履歴、問い合わせ内容などを一元管理し、顧客満足度を高めて「顧客と長期的な良い関係」を築く手法。

SFA (営業支援システム)

Sales Force Automation。
営業担当者のスケジュールや顧客との交渉履歴、見積もり状況などをITで管理・共有するシステム。(例:トップ営業マンの「売れるコツ」を全員で共有し、チーム全体の売上をアップさせる)

SCM (供給連鎖管理)

Supply Chain Management。
部品の調達から製造、配送、販売までの「モノの流れ(サプライチェーン)」に関わる全企業をネットワークでつなぎ、在庫削減や納期短縮など全体最適化を図る手法。

バリューチェーンマネジメント

企業の活動を、製品を直接生み出す「主活動(製造、営業など)」と、それを支える「支援活動(人事、経理など)」に分け、どこで付加価値(利益)が生まれているかを分析・管理する手法。

SFA (営業支援システム) と CRM の違い

どちらも顧客データを扱いますが、「何を目的にしているか」が違います。試験でよく引っかけ問題になるので注意しましょう!

SFA (Sales Force Automation)

目的:営業活動の効率化とノウハウ共有

  • 営業担当者の商談の進捗、スケジュール、日報などを管理します。
  • 具体例:トップ営業マンの「売れるコツ(どのタイミングでどんな提案をしているか)」をチーム全員で共有し、新人でも売上を伸ばせるようにする。
  • キーワード:商談履歴、営業プロセスの見える化、売上予測
CRM (Customer Relationship Management)

目的:顧客満足度の向上と長期的な関係構築

  • 顧客の属性、購入履歴、問い合わせやクレームの内容を管理します。
  • 具体例:「この商品を買ったお客様には、1ヶ月後にこのメルマガを送る」「コールセンターで過去の問い合わせ履歴を見ながら対応する」など。
  • キーワード:顧客ロイヤルティ、リピーター獲得、LTV(顧客生涯価値)
ナレッジマネジメントと SECI モデル

ナレッジマネジメントとは、個人の頭の中にある知識(ノウハウ)を会社全体で共有・活用する手法です。
そのプロセスを4つの段階(スパイラル)でモデル化したのがSECI(セキ)モデルです。

  • Socialization (共同化): 暗黙知 → 暗黙知 一緒に作業して、職人のカンやコツ(言葉にできない暗黙知)を盗む。
  • Externalization (表出化): 暗黙知 → 形式知 盗んだカンやコツを、マニュアルや文章(言葉や図にできる形式知)に書き出す。
  • Combination (連結化): 形式知 → 形式知 作られたマニュアル同士を組み合わせ、より優れた新しいマニュアル体系を作る。
  • Internalization (内面化): 形式知 → 暗黙知 優れたマニュアルを読んで実践を繰り返し、自分の身体に叩き込んで新たなカンやコツ(暗黙知)にする。
品質と生産管理
TQC / TQM
TQC (Total Quality Control): 全社的品質管理。製造現場だけでなく全社で品質を管理する手法。
TQM (Total Quality Management): 総合的品質管理。TQCをさらに経営トップから末端まで組織全体に広げ、継続的に品質を向上させる経営手法。
シックスシグマ
モトローラ社が開発した、製品の不良率を「100万回に3.4回(6σ)」のレベルまで極限に減らすための徹底的な品質管理手法。統計データを用います。
TOC (Theory Of Constraints)
制約理論。「全体のスピードや成果は、一番遅い工程(ボトルネック=制約)に引きずられる」という考え方。一番遅い工程を見つけてそこを改善することで、工場全体の生産性を最大化する手法。

過去問演習(経営管理システム)

出典:令和7年春期 問31

ERPシステムの説明として,適切なものはどれか。

  • 企業内の個人がもつ営業に関する知識やノウハウを収集し,共有することによって,効率的,効果的な営業活動を支援するシステム
  • 経理や人事,生産,販売などの基幹業務と関連する情報を一元管理し,経営資源を最適配分することによって,効率的な経営の実現を支援するシステム
  • 原材料の調達から生産,販売に関する情報を,企業間で共有・管理することによって,ビジネスプロセスの全体最適を目指すシステム
  • 個々の顧客に関する情報や対応履歴などを管理することによって,きめ細かい顧客対応を実施し,顧客満足度の向上を支援するシステム
出典:令和8年春期 問33

購買,製造,販売という供給者から消費者までを結ぶ一連の業務のつながりを総合的に管理し,資材の調達から顧客への販売に至る在庫などの無駄をなくして,プロセス全体の最適化を図るものはどれか。

  • CRM
  • POS
  • SCM
  • SFA
出典:令和元年秋期 問28

業務の効率化を目指すために,SFAを導入するのに適した部門はどれか。

  • 営業
  • 経理・会計
  • 資材・購買
  • 製造
出典:平成25年春期 問14

総合的品質管理(TQM又はTQC)の重要な手法の一つである方針管理の説明として,適切なものはどれか。

  • 企業戦略の遂行状況を測定するために,財務,顧客,業務プロセス,学習と成長の四つの視点から指標を設定し,目標を管理していく活動
  • 業務改善のための課題を洗い出し,既にその課題に取り組んでいる最良の他社から学んで,自社に適用する活動
  • 経営トップの目標を事業部,部,課などの目標に順次展開し,それを実施計画につなげて目標達成のために継続的な改善を進めていく活動
  • 現場で発生している問題を解決するために,関連する職場の人々がチームを作り,計画を立てて改善を進めていく活動
出典:平成24年春期 問24

シックスシグマ活動に関する説明として,適切なものはどれか。

  • 工作のプロセスで発生する可能性がある障害をあらかじめ予測し,対応策を計画する。
  • 職場のメンバーでグループを作り,職場内で発生する様々な問題を継続的に解決する。
  • 対象とする業務の品質を数値化し,そのばらつきを抑制することによって,業務品質を改善する。
  • 品質に関する活動を手順化・文書化・記録化することによって,品質の保証と顧客満足の向上を図る。