システム化計画
システム開発を始める前の「企画」段階です。「なぜ作るのか」「何を作るのか」「どうやって作るのか」という全体像を描きます。
1. システム化構想の立案
経営課題を解決するための新たな業務とシステムの構想を立案するプロセスです。
具体的なタスクとしては、経営上のニーズや課題の確認、事業環境や業務環境の調査分析などがあります。
システム化構想の立案において最も重要なのは、「経営戦略に基づいているか」を確認することです。
これは、企業全体の利益となる全体最適化を実現するシステムを開発するために不可欠なタスクです。
現場のニーズだけを聞いてシステムを企画すると、特定の部署だけが便利になる「部分最適」になりがちです。
経営戦略に基づいていない部分最適なシステムは、全社的なデータの連携を阻害するなど、企業にとって害になる可能性があります。
そういった状況に陥らないためにも、最初のプロセスできちんと経営上のニーズや課題を確認することが重要です。
2. システム化計画の立案
構想を具体化し、「いつまでに」「いくらで」「誰が」実行するかという計画を立てます。
現状の業務やシステムの課題を分析し、新しいシステムの適用範囲を決定します。
IT投資を「戦略的投資」「インフラ投資」「維持管理」などのカテゴリに分け、リスクやリターンを考慮して資金や資源を最適に配分する管理手法。
金融資産のポートフォリオ(株・債券・貯金の配分)と同じ考え方です。
投資における費用対効果については、ROI(Return On Investment)で表されます。
プライバシーバイデザイン
システム開発の企画・設計段階から、個人情報保護の仕組みや対策をあらかじめ組み込んでおく考え方です。
後付けで対策するのではなく、最初から「プライバシー保護」を前提に設計することで、コスト削減やリスク低減を図ります。
「投資したコストに対して、どれくらいの利益が得られたか」を表す指標です。
システム導入の可否を判断する重要な材料になります。
※この数値が高いほど、投資効果が高いと判断されます。
過去問演習(システム化計画)
ある企業が,AIなどの情報技術を利用した自動応答システムを導入して,コールセンターにおける顧客対応を無人化しようとしている。この企業が,システム化構想の立案プロセスで行うべきことはどれか。
- AIなどの情報技術の動向を調査し,顧客対応における省力化と品質向上など,競争優位を生み出すための情報技術の利用方法について分析する。
- AIなどを利用した自動応答システムを構築する上でのソフトウェア製品又はシステムの信頼性,効率性など品質に関する要件を定義する。
- 自動応答に必要なシステム機能及び能力などのシステム要件を定義し,システム要件を,AIなどを利用した製品又はサービスなどのシステム要素に割り当てる。
- 自動応答を実現するソフトウェア製品又はシステムの要件定義を行い,AIなどを利用した実現方式やインタフェース設計を行う。
システム化計画の立案において実施すべき事項はどれか。
- 画面や帳票などのインタフェースを決定し,設計書に記載するために,要件定義書を基に作業する。
- システム構築の組織体制を策定するとき,業務部門,情報システム部門の役割分担を明確にし,費用の検討においては開発,運用及び保守の費用の算出基礎を明確にしておく。
- システムの起動・終了,監視,ファイルメンテナンスなどを計画的に行い,業務が円滑に遂行していることを確認する。
- システムを業務及び環境に適合するように維持管理を行い,修正依頼が発生した場合は,その内容を分析し,影響を明らかにする。
情報化投資において,リスクや投資価値の類似性でカテゴリ分けし,最適な資源配分を行う際に用いる手法はどれか。
- 3C分析
- ITポートフォリオ
- エンタープライズアーキテクチャ
- ベンチマーキング
投資案件において,5年間の投資効果をROI(Return On Investment)で評価した場合,四つの案件a~dのうち,最もROIが高いものはどれか。
- a
- b
- c
- d
システム開発の上流工程において,システム稼働後に発生する可能性がある個人情報の漏えいや目的外利用などのリスクに対する予防的な機能を検討し,その機能をシステムに組み込むものはどれか。
- 情報セキュリティ方針
- セキュリティレベル
- プライバシーバイデザイン
- プライバシーマーク
要件定義
「どんなシステムを作ればよいか」を明確にする、システム開発の出発点であり最重要工程です。
1. 要件定義のプロセス
ユーザ(発注者)のニーズを調査・分析し、システムに求める機能を決定します。
アンケートやインタビュー(構造化・半構造化・非構造化)を行い、現状の課題を洗い出します。
2. 業務・機能・非機能要件
要件は大きく3つの階層で定義されます。
| 種類 | 内容 | 例(飲食店の注文システム) |
|---|---|---|
| 業務要件 | 業務手順やルールの要件。 システム化の前提となる「新しい仕事のやり方」。 |
・お客様が自分のスマホで注文できるようにする。 ・注文データは即座に厨房に伝達する。 |
| 機能要件 | システムが備えるべき「機能」。 何ができるか。 |
・QRコード読み取り機能 ・メニュー表示機能 ・注文履歴確認機能 |
| 非機能要件 | 機能以外の「性能・品質」。 安全性、信頼性、移行要件など。 |
・注文ボタンを押してから1秒以内に反応すること(性能) ・24時間365日停止しないこと(可用性) |
3. 要件定義の手法と合意
利害関係者(ステークホルダ)との合意
システムには、経営者、利用部門、運用担当者など多くの利害関係者がいます。
それぞれの要望が対立することもあるため、調整(ファシリテーション)を行い、要件について全員の合意・承認を得ることが不可欠です。
過去問演習(要件定義)
社内の業務システムの要件定義の合意形成の対象者に含まれるのはどれか。
- 開発要員を派遣している派遣元の責任者
- システムの運用・保守を担当している社内部門の責任者
- 当システムのRFP発行先の全てのベンダーの責任者
- プロジェクト管理で使用する進捗管理ツールの提供元の責任者
非機能要件の定義で行う作業はどれか。
- 業務を構成する機能間の情報(データ)の流れを明確にする。
- システム開発で用いるプログラム言語に合わせた開発基準,標準の技術要件を作成する。
- システム機能として実現する範囲を定義する。
- 他システムとの情報授受などのインタフェースを明確にする。
調達計画・実施
システムを自社で作るのか(内製)、外部から買うのか(購入)、外部に作ってもらうのか(委託)を決め、実行するプロセスです。
1. 調達の流れ(RFIとRFP)
ベンダー(IT企業)を選定する際の流れは試験で非常によく出ます。
発注者 ベンダー
「御社はどんな技術や実績を持っていますか?」「最近の技術動向を教えて」
目的:情報の収集、実現可能性の確認、ベンダーの選別
発注者 ベンダー
「こういう要件のシステムを作りたいので、提案してください」
目的:具体的な提案と見積もりの依頼
※これに基づき、ベンダーは「提案書」と「見積書」を作成します。
各社からの提案書・見積書を比較評価し、発注先を決定して契約を結びます。
選定基準(価格、納期、信頼性、機能など)を事前に決めておくことが重要です。
2. 契約の種類
システム開発や運用における契約形態には、主に「請負」と「準委任」があります。
| 種類 | 請負契約 (うけおい) | 準委任契約 (じゅんいにん) | 派遣契約 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 仕事の完成(成果物) | 事務処理の遂行(労働行為) | 労働力の提供 |
| 責任 | 完成責任(納品しないと報酬なし) 契約不適合責任(瑕疵担保責任)あり |
善管注意義務(プロとして最善を尽くす) ※完成責任は問われない |
指揮命令に従う |
| 指揮命令権 | ベンダー側 | ベンダー側 | 発注者側 |
| 主な適用 | 内部設計~プログラミング~テスト (成果物が明確な工程) |
要件定義、運用・保守 (成果が見えにくい、継続的な業務) |
常駐開発など |
調達先の選定において、価格や品質だけでなく、「法令遵守、人権配慮、環境保護(グリーン調達)」などの社会的責任を果たしている企業かどうかを重視する考え方です。
製造業のビジネス形態
システム化の対象となる業務環境を理解する上で、近年増えている「工場を持たない」などのビジネス形態を知っておくことが重要です。
Fabless (Fabrication Less)
工場を持たない企業のこと。
自社は製品の「企画・設計・マーケティング」に特化し、製造は外部(EMSやファウンドリ)に委託します。
例:任天堂、キーエンス、Apple
Foundry
半導体の製造を専門に請け負う企業のこと。
ファブレス企業などから設計データを受け取り、実際のチップを製造します。
例:TSMC
Electronics Manufacturing Service
電子機器の受託生産を行うサービスや企業のこと。
製造だけでなく、部品の調達や配送、場合によっては設計の一部まで請け負います。
例:Foxconn(iPhoneの製造など)
過去問演習(調達計画・実施)
RFIに回答した各ベンダーに対してRFPを提示した。今後のベンダー選定に当たって,公正に手続を進めるためにあらかじめ実施しておくことはどれか。
- RFIの回答内容の評価が高いベンダーに対して,選定から外れたときに備えて,再提案できる救済措置を講じておく。
- 現行のシステムを熟知したベンダーに対して,RFPの要求事項とは別に,そのベンダーを選定しやすいように評価を高くしておく。
- 提案の評価基準や要求事項の適合度への重み付けをするルールを設けるなど,選定の手順を確立しておく。
- ベンダー選定後,迅速に契約締結をするために,RFPを提示した全ベンダーに内示書を発行して,契約書や作業範囲記述書の作成を依頼しておく。
図に示す手順で情報システムを調達するとき,bに入れるものはどれか。
- RFI
- RFP
- 供給者の選定
- 契約の締結
CSR調達に該当するものはどれか。
- コストを最小化するために,最も安価な製品を選ぶ。
- 災害時に調達が不可能となる事態を避けるために,調達先を複数化する。
- 自然環境,人権などへの配慮を調達基準として示し,調達先に遵守を求める。
- 物品の購買に当たってEDIを利用し,迅速かつ正確な調達を行う。
グリーン調達の説明はどれか。
- 環境保全活動を実施している企業がその活動内容を広くアピールし,投資家から環境保全のための資金を募ることである。
- 第三者が一定の基準に基づいて環境保全に資する製品を認定する,エコマークなどの環境表示に関する国際規格のことである。
- 太陽光,バイオマス,風力,地熱などの自然エネルギーによって発電されたグリーン電力を,市場で取引可能にする証書のことである。
- 品質や価格の要件を満たすだけでなく,環境負荷の小さい製品やサービスを,環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することである。
半導体産業において,ファブレス企業と比較したファウンドリ企業のビジネスモデルの特徴として,適切なものはどれか。
- 工場での生産をアウトソーシングして,生産設備への投資を抑える。
- 自社製品の設計,マーケティングに注力し,新市場を開拓する。
- 自社製品の販売に注力し,売上げを拡大する。
- 複数の企業から生産だけを専門に請け負い,多くの製品を低コストで生産する。
EMS(Electronics Manufacturing Service)の説明として適切なものはどれか。
- 一般消費者からの家電製品に関する問合せの受付窓口となって電話対応を行う。
- 製造設備をもたず,製品の企画,設計及び開発を行う。
- 他メーカーから仕入れた電子機器などの販売を専門に行う。
- 他メーカーから受注した電子機器などの受託生産を行う。